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情熱ボイス

情熱ボイス サーボ篇 グローバルNo.1を達成するために 1 第1回 グローバルNo.1実現に向けた製品開発への取り組み 情熱ボイス  サーボ篇 グローバルNo.1を達成するために 1 第1回 グローバルNo.1実現に向けた製品開発への取り組み

安田大介は米国駐在の経験を経て、17年春からJ5製品企画に加わった。11年のJ4発売には海外営業の一人として参画していた安田は、今回は工場側の製品企画取り纏めを務める形になる。

今回のJ5製品企画にあたり、安田自身はこれまでの経験を振り返りながら、お客様への最新技術提案や販売会社との意見交換を繰り返した。常に自社のポジションを確認しながら、IoT活用・産業オープンネットワークへの対応といった市場ニーズの変化、競合メーカの新製品・サービス及び戦略を分析し、目指すべき企画のコンセプトを蓄えていった。

2017年は、J4が発売した2011年から6年が経っており、市場ニーズへの対応・競合他社への対抗には、製品力の強化が必要だった。そのためには従来のJ4からの機能面や性能面の進化および継承という視点だけではなく、ラインアップ拡充も進めていくことが不可欠であった。

安田大介は米国駐在の経験を経て、17年春からJ5製品企画に加わった。11年のJ4発売には海外営業の一人として参画していた安田は、今回は工場側の製品企画取り纏めを務める形になる。

今回のJ5製品企画にあたり、安田自身はこれまでの経験を振り返りながら、お客様への最新技術提案や販売会社との意見交換を繰り返した。常に自社のポジションを確認しながら、IoT活用・産業オープンネットワークへの対応といった市場ニーズの変化、競合メーカの新製品・サービス及び戦略を分析し、目指すべき企画のコンセプトを蓄えていった。

2017年は、J4が発売した2011年から6年が経っており、市場ニーズへの対応・競合他社への対抗には、製品力の強化が必要だった。そのためには従来のJ4からの機能面や性能面の進化および継承という視点だけではなく、
ラインアップ拡充
も進めていくことが不可欠であった。

グローバル対応は反動も伴う

三菱電機の汎用ACサーボ「MELSERVO」は、その使いやすさや高い性能・機能が評価され、多くのお客様に支持されており、高いシェアを誇る。一方で、ものづくりはグローバル化が進み、お客様のニーズは多様化・複雑化しており、更に競合他社ではローカルメーカが台頭してきており、高いシェアだけに安閑としていられる状況ではなくなっている。

更なる進化がなければ、MELSERVOに未来はない。

2011年の「MELSERVO J4」発売から数年が経過した頃から、三菱電機社内では次の製品を見据えた準備が始まった。その共通テーマとして掲げられたのが「グローバルで戦えるサーボ」。社内で方向性は一致するも、各製品の開発担当者は大きな壁にぶち当たる。

「ラインアップの拡充」はグローバルで戦うための必要条件だったが、やみくもに増やすことはコストを押し上げる要因になりかねない。

サーボをプログラムするためのエンジニアリングツールも、グローバル対応が逆効果になりかねない問題を抱えていた。サーボシステムを開発する三菱電機のエンジニアリングツール「MT Works2」は、制御システムの技術者が使い慣れたフローチャート形式でプログラムを開発でき、その使いやすさは国内で高い評価を得てきた。しかしグローバルレベルでは、PLCのプログラミング国際標準規格「IEC61131-3」が台頭し、着実に支持を広げている。MT Works2とは言語の体系が異なるため、IEC61131-3を志向するグローバルユーザには提案しても現状のままでは受け入れられにくい。かといってIEC61131-3対応の開発環境に全面的に切り替えてしまえば、今度は従来のMT Works2のお客様から反発を食らうだろう。

「グローバルで戦い抜く」ことが次世代のサーボで
重要なことに疑いの余地はない。

しかしその実現のために個別の戦略に落としこもそうとすると、あちこちで従来の戦略と相容れなくなる。各製品の開発担当者はその狭間で苦心しながら、数年後を見据えた次期製品開発に取り組まねばならなかった。

全世界共通のニーズ発見による一体感と、不安

次のサーボ「MELSERVO J5」を目指した開発は、2016年4月の「新製品企画ワーキンググループ」発足で具体化し始める。ワーキンググループにはサーボシステムを構成する各製品の開発担当者に加え、国内支社や海外販社の営業担当者も名を連ねた。

ワーキンググループでは変化し続ける市場に対して、「サーボシステムとしてのラインナップを拡充してほしい」という意見があがってきて議論は活性化する。

「単純に三菱電機が製品力を強化するだけではなく、
お客様がグローバル市場での競争力を向上していくための課題を
解決する手段
になりそうだ!」。

ワーキンググループは全世界共通のニーズを見つけ出し、盛り上がっていった。

開発チームのリーダー、ドライブシステム部ドライブシステム基本開発課の米津裕之は、それら要件に納得する一方で、J5を多くのお客様に届ける事が出来た場合、市場に求められる性能に達しているのかという不安が頭をもたげるようになった。それは昨今急激に盛り上がってきたFA市場のIoT化に応じて進むと見られる大容量の情報伝達・高速化の波に、J5がついていかれるかという点だ。

特にサーボと関係の深い産業用ネットワークの分野では、停止させない設備を実現するための予知保全への興味からIoT技術の適用に向けて、オープン化と同時に高速化が求められている。その両者を一層推し進めるものとして期待されているのが、Ethernetでリアルタイム制御を可能にする標準技術「TSN」(Time-Sensitive Networking)だ。当時TSNはまだ国際標準化の途中だったが、実現は確実視されており、ネットワークの大幅な高速化が進むのは間違いない。国際標準である以上、国際レベルでの競合他社はみなTSNを採用するはずだ。

グローバルで戦えるサーボを目指すなら、
当然三菱電機もTSNを採用する必要がある。

しかしTSNでネットワークがいくら高速化しても、サーボがその高速化に追いつけないようでは、システムとして何の意味も成さなくなる。サーボシステムの中核に位置するサーボアンプの開発を担当する米津にはその不安があったのだ。

ひょっとしたら部品レベルから
設計をやり直さなくてはならない
のでないか。

米津はその可能性に考えが及ぶと空恐ろしくなった。現行のサーボであるJ4、さらにその前の世代のJ3いずれの開発プロジェクトでも、米津は基幹部品であるASICの開発を担当し、その大変さを身をもって知っている。リーダーとして二つ返事で安請け合いできる話ではない。

自分たちが腹をくくらなければ始まらない

だがそうした米津の不安をよそに、J5の要件を決めるワーキンググループの議論は、製品化に向けた方向へどんどん進んでいく。営業サイドのグローバル対応への期待は想像以上のものだ。

もはや避けて通ることはできない。

ワーキンググループの議論が進む中、米津をはじめ開発担当者たちは覚悟を決めた。求められる要件を実現しようとすれば、さまざまな苦難が生じるに違いない。

それでもグローバルで戦うためには、
自分たちが「腹をくくるしかない」と悟ったのだ。

臨戦態勢は整った。ワーキンググループによる要件定義を経て、2017年春、J5の本格的な開発作業がスタートする。

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